水の小惑星10
天体観察 果てしないロマンが宇宙にある!
水が存在する小惑星ついに発見
2010年4月29日(木) spectator:3073
いつか必ず発見されるだろうと思っていた水が大量に存在する小惑星がついに見つかった。
4月29日付で米ジョンズ・ホプキンス大学とセントラルフロリダ大学の研究チームがイギリスの科学誌「ネイチャー」誌に発表した。
この二つの研究チームは、ハワイのマウナケアにあるNASA(米航空宇宙局)の赤外線望遠鏡で分析した結果、ギリシャ神話の掟(おきて)の女神の名がついた小惑星「24テミス」の表面が薄い氷と炭素を含む有機物の層でできていることが観測されたという。
彗星の成分分析はこれまでの探査機による観測などから水の成分や低分子化合物が検出されてきたが、太陽系の主小惑星帯から大量の水と有機物が測定されたのはこれが初めてである。
偉大なる快挙である。
今まで、地球上の生命誕生に不可欠な水と有機化合物は彗星や隕石の衝突によってもたらされたとする仮説がたてられてきた。
彗星は思ったより小さく、せいぜい数kmのかたまりである。
汚れた雪だるまと形容される彗星の故郷ともいうべきオールトの雲と呼ばれる小惑星帯は太陽系の冥王星のはるか彼方にあって太陽の公転軌道上にある。
これに対して小惑星「24テミス」は直径198kmで、火星と木星の軌道の間にあり、太陽の周りを公転している小惑星帯の中にある。
この領域の環境では、太陽に近く、表面の薄い水の層は蒸発してしまうので通常では惑星の表面に長く留まることはできないとされてきた。
ただし理論的には、大量の氷が地下に閉じ込められていれば、内部から絶えず蒸発して地表面で再び凍ったとしても数十億年は保持できるのだという。
NASAの天体プログラム責任者、Don Yeomans 氏は「小惑星全体を探してもコップ一杯程度の水さえ見つからないと思っていた。この「24テミス」ひとつで地球上のすべてのプールをいっぱいにできるかもしれない。」と語っている。
太陽系が生まれて四十数億年、初めて想像以上の多くの水でできた小惑星が発見されたことになる。
今もアメリカの湖では水を出している岩石があるという。小惑星の可能性もある。
月は小惑星が地球に衝突し、地球を深くえぐり取って地球の衛星軌道に月となって留まったといわれている。そのえぐり取られた跡が太平洋なのだという。
水を含んだ彗星や隕石、小惑星が灼熱の原始地球に何億年にもわたり衝突を繰り返し水を残し、生命の素をもたらした。
我々は地球というかけがいのない奇跡の星に存在する。
初めて宇宙から帰還した「ガガーリン」は、「地球は青かった」と言った。それまで地球がこんなに青く見える水の星だとは誰も想像できなかったのである。
地球の本格的な研究はここから始まったといっていいかもしれない。
それは「命」のてがかりを探る壮大な動機のはじまりでもあった。
先日、スペースシャトルで宇宙から帰還した山崎直子宇宙飛行士は地球のすばらしさを、
「るり色の 地球も花も 宇宙の子」 と俳句に詠んだ。
今回の発見は、命の誕生の秘密のベールがまた一枚とれたようでたいへん興味深い。
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