冬の散歩道2013
生きものたち かけがえのない「いのち」のかたち!
冬の散歩道 ~近くの遊歩道にて~
2013年1月25日(金) spectator:2410
- 快適な遊歩道
新潟の冬は暗くて長い。
低くよどむ空から降り続く雪の朝は起きるのさえおっくうだ。
それでも、太陽が思い出したように顔を出すと、もぐらが出て行くようにして外に出る。
冬の日差しは新雪に反射してまぶしく、空気は頬を刺すように冷たいが、太陽の暖かさを全身で感じることができる幸せなときでもある。
特に朝の散歩がいい。
白い世界に昇る朝日のグラデーション。
刻々と変化する空気の色。年に1~2回現れるかどうかの深い霧の朝は幻想的だ。
家の裏手には田園が広がり、二つの学校と市営テニス場を貫くようにして整備された公園のような遊歩道が、田を潤す農業用水に沿って真っ直ぐに4kmほど続き、阿賀野川の河川敷公園まで続いている。
ここ数年のうちに、木々はみるみる成長し、植え込みもようやくその姿を整えてきていて、お気に入りの散歩道になっている。
冬、一面雪に覆われたこの散歩道でよく目にするのは鳥たちだ。
ヒヨドリ、スズメ、カラス、ムクドリ、モズ、シジュウカラ。たまに珍しい渡り鳥も見ることができる。
木の実さえ少なくなって、毎日の餌捜しはさぞ大変なことだろう。
カラスは人を恐れないので近くに来て、新雪にヒョコヒョコと足型で線を描く。
モズはハヤニエと呼ばれる餌の刺し場所を探している。
大空を行くのは、アオサギ、コサギ、シラサギ、トビといったお馴染みの鳥に、渡り鳥のカモ、ヒシクイ、ガン、そして白鳥の編隊。
そうそう、海が近いせいかカモメも飛んでくる。
白鳥が列をなし、鳴き声を交わしながら低空を飛んでゆくのに出会った日は、一日中どことなく機嫌がいい。
青空に白鳥の編隊ならことのほか美しい。
この時期、川の水は透明度を増す。夏の赤茶色の水とは大違いだ。
その水面では、カモたちが翼を休めるのを見ることもある。
いつか、夏に見かけたカワセミに会えるのを楽しみにしている。
(冬に近くの北山の池や福島潟、佐潟では見かけているのだが)
水面がゆっくりと動く。ドでかい鯉が群れをなして悠々と泳いでいる。
小魚は見えないが、アオサギが狙っていることがある。
雪の遊歩道を歩いてゆくと、犬やネコと違う、普段お目にかかれない野生動物の足跡を見つけることができる。
今回見つけたのがコレ。
歩幅が約25cm。おもしろい足のかたちだ。
何の動物だろう。
想像ではイタチが近いと思うのだが。
田んぼでは野鼠やモグラもいるようだが、雪の下では、いろんな動物が冬眠していることだろう。
(過去に尾瀬の入り口の鳩待峠で氷のような硬い雪面で足早に移動するモグラと接触したことがある)
雪の下の地面の中は、厳しい寒さの地表より暖かく、動物にとっても植物にとっても、雪が布団のような役目をしている。
雪は、春を待つ間、生き物に等しく天が与えた休息の褥(しとね)なのだ。
やがて訪れる雪国の春は、雪の季節から開放された喜びに満ちあふれる。
身体の中から暖まる陽光の下、雪消えと同時にいっせいにあらゆるものが萌え出す春。
その命輝くような一瞬を夢見て厳しい冬を耐えているのは、植物も動物も、人間も同じ。
そんな連帯感が、生き物に優しい気持ちで等しく接することができる所以であり、人情にも厚くなる風土となっているのである。
さあ、あと一ヶ月と少しの先を楽しみに、冬を耐えてゆこう。
- コメント ○ご自由にお書き下さい。 (認証コードをお忘れなく!)
a:2410 t:1 y:0