11新潟司所研究会
いけばな行事 人の和が次の大きな輪を創る!
新潟司所研究会
2011年6月12日(日) spectator:3209
- 新潟司所研究会教室
嵯峨御流の司所研究会ではいけばなを通じて日本の歴史、思想、文学、自然科学まで学ぶことができる。
単に花を美しく生けるだけでなくその背景にあるさまざまな積み重ねられてきた膨大な情報がある。「伝書」講義がそれで、日本の伝統文化としての奥深さを物語っている。
長年のあいだには同じ個所を何回か重複して聞くことになるが、派遣講師の先生によって情報量や考え方が多様でその都度必ず新たな発見がある。
つくづく、繰り返すことの大切なことを思う。
日本の文化はおしなべて「型の文化」と云われている。いけばなにも数百年間という長年磨かれて伝承されてきた様々な「型」がある。
研究会では主にその伝承されてきた基本的な古典の型を中心に勉強する。
何事にも基本があり、そのたゆまぬ習得から自らの技術が磨かれ、基本ができてこそ自己の感性による創造力も磨かれてゆく。
嵯峨御流では基本の最も重要な型を「生花(せいか)様式」におく。
その構成要素はわずか三つ。すなわち「天、地、人」の役枝が黄金分割(≒白銀比)に配され、流麗で豊かな空間を創り出す。
まさに、これからの時代での生活で最も重要な考え方となるであろう「引き算」の要素を活かして枝葉を整えてゆく。
つまり無駄なものを極限まで突き詰め、貧相でもなくまた華美に過ぎず、その中庸である閑静な構成美を創り出すことが生花様式の特徴である。
基本の型を脳裏に描き、その理想とするところへ植物を使って「型」を構成してゆく。
同じ種類の花材でも二つと同じものはできないし、またこれで良しとする到達点もないところが難しいと同時におもしろい。
「型」の基本の繰り返し。これには終わりということがない。
物事を作り上げるには、各要素を吟味し、完成した姿を頭に描きつつ、何手か先を読みながら緻密にその行程を進めていくという作業はいけばなだけでなくあらゆるモノ作りに共通する。
そこで培われるのが「想像力」であり、その鍛錬が「創造力」を高めることにもなってゆく。
繰り返す、季節ごとに生じる植物で何年も何度も繰り返す。
その積み重ねが自らの「技」となり、同時に知らず日本人としての教養の習得にもなってゆく。
そういう意味で、日本の「いけばな」の根本のひとつには単に装飾した美を競うものではなく、内面の充実を重要とする考え方が底流におかれている。
ひとつのことを続けるということは人間性の向上にも資することにつながってゆくのである。
- 心粧華:才の花、想い花、祈り花
いけばなには年齢や性別の格差はない。研究会では年配の先生からは知識や熟練した技を、若者からは新鮮な感性を受け取ることができる楽しみの場でもある。
今年も若い正教授(師範の三階級上の位)が誕生した。
時代が変わりゆく中で、日本文化を正当に伝承してゆく若者が一人でも多く増えてゆくことは誇りであり希望である。
- 生花の基本「葉蘭」三才格
- 正教授授与
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