雛祭りの花1003
いけばな歳時記 季節の節目に出会う花!
ひな祭りの花 (上巳の節句)
2010年2月23日(火) spectator:15409
- 村上市 町屋の人形様巡り
村上市 町屋の人形様巡り
三月三日は「ひな祭り」女の子の幸せと健やかな成長を祈る五節句のひとつです。お雛様を飾ります。
「雛祭り」の起源は、平安時代、京の貴族階級の子女が、天皇の御所を模した御殿や飾り付けで遊んだ「雛あそび」が始まりとされています。
それが武家社会、そして、江戸時代には庶民の人形遊びと節句が結び付き、現在の「ひな祭り」として発展してきました。
燕喜館のお雛様
また、古代の中国思想に桃が邪気を祓い長寿を保つといわれたことから、この時期に咲く桃の花を飾るので「桃の節句」とも言われています。
しかし、これは旧暦のことで、現在はこの時期、桃は早い内に室(むろ)に入れて温度調整して咲かせたものが市場にでています。
「上巳」は上旬の巳の日の意味で、元々は3月上旬の巳の日でしたが、中国の魏の時代より3月3日に上巳の節句としてこの日に定まったとあります。
流し雛
古来中国では、上巳の日に川で身を清め不浄を祓う習慣(上巳の祓)があり、これが平安時代に日本に取り入れらました。
日本では、田植えの始まりにあたるこの時期に、田の神を迎えるために、紙で作った人形で体を撫でて穢れを落とした後、海や川に流すことが行われました。
現在でもこの「流し雛」の風習は残っています。
桃の花
ひな祭りのいけばなは、桃の花と菜の花を使って季節感をシンプルに表現しています。
■ 瓶 花 ( 両成体、間留 )
桃 バラ科サクラ属
日本に古くに渡来した花で「木」へんに「兆」と書くところから非常に多い数、多産に通じる木とも言われ 中国では長寿と繁栄のを意味し、また邪気を払う思想が伝わる。
菜の花 アブラナ科アブラナ属
■ 生け方
- 花瓶に花や木を留める方法のひとつに、丁字留があります。
- 主体の桃の枝ぶりを見極め、枝の切り口を垂直に切ります。
(切り口で上下が確認できます。)
- 枝を直立させるには、切り口を縦にVカットしてバネのような逆丁字を作ります。
- 枝を斜めに入れるには、枝の切口に花瓶の内側の直径の長さの横丁字を作ります。
これが足場となり、ここに他の花材を絡めるように入れていきます。
花瓶のなかの横丁字は一か所だけにします。
- 主体の桃の枝が立ち上がるところから枝や花を放射状に振り出し、足元をきりりとひとつになるようにまとめます。
- 枝がクルリと回ってしまう場合、切り口を縦丁字にすると回転を防ぎます。
- 瓶口を花材でいっぱいにしないで、水口を少し開けるようにします。
注)花瓶のなか(水の中)に入る花や葉はきれいに取り除きます。
また、花瓶と花が一体になるように葉で花器口を一部覆うようにします。
- 菜の花の切り口が花瓶の内側に当たるように切りあげます。
(このとき、花器に葉がふれる花器ずれができないように長さに注意してください。)
- 全体を整えるように桃の枝を菜の花の間に挿してまとめます。
嵯峨御流の「瓶花」は、足もとがキリりとした上品な作風となります。
春の苑(その)
紅にほふ 桃の花
下照る道に 出で立つ乙女
大伴家持
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