春の京都旅行 13日-19日
いけばな行事 人の和が次の大きな輪を創る!
ロシアのいけばな愛好家と行く 「春の京都旅行」 13日-19日
2009年4月11日(金)~19日(日) spectator:1848
ロシアとのいけばな交流は7年間続いている。その結果、何十人もの日本文化を愛する人たちが京都に行きたいという要望がでてきた。
考えてみると、これはすごいことだ。
まず、何より安全に快適に約10日間をどのようにエスコートすればよいか。正直最初は躊躇した。
信頼は何年もかかって築かれるが、信用をなくすのは一時である。
普通にリラックスして一緒に楽しむ。これが結論だった。
郷に入っては郷に従う例えのように京都での宿泊は、13日と14日の二日間は和風様式の旅館を選んだ。
13日、大覚寺に向かう。ロシアと新潟のいけばな愛好家が仲良く一緒のバスに乗った。
右に左にと案内をしているとアッという間に大覚寺に着いた。
大覚寺では、まず大沢の池で龍頭鷁首の舟に乗る。池の周囲は後水尾天皇が植えられたという桜が満開で、例年になく桜が長く咲いていて遠方からの来客を歓迎しているかのようだ。
桜吹雪の中をゆったりと平安貴族の風情を味わう。舟は茶席になっていて何とも言えない優雅な気分だ。
この大沢の池は周囲約1km、日本最初の池泉回遊式の人造湖である。鑓水の跡は広場になっていて、奥に「名こその滝」跡がある。
池の周りは梅林や竹林が整備されていて、多宝塔とともに日本情緒を醸し出している。
昔から時代劇のロケのメッカという背景がうなずける。
大覚寺の中を案内する。親授式に出る会員と、団体旅行にあまり慣れていないロシアの人たちの間で右往左往。私自身がいけばな展をゆっくり見ている余裕がない。ここは少し落ち着いてゆこう。
問題は嵯峨野の化野から渡月橋までの散策だ。バラバラになってしまっては迷子が出る。そこを昨年の経験を生かして、堀川さんが「あとずめ」となって伊井さんと美砂子がカバーする。
長いようで短い一日目が無事に終わった。そして、新潟のみんなは全員今晩の夜行で帰った。私一人が残る。
14日はこの旅行中唯一の雨の日になった。これで桜もずいぶん散ってしまうだろう。
仁和寺の桜は頑張っていた。もともと下から湧き上がるように
咲く御室の桜が花びらの絨毯を敷き詰めて、しっとりと、とてもよい風情を見せている。
雨はまた雨の日の良さがある。雨にけむる満開の桜を前景にたたずむ五重塔が映画のワンシーンのような演出をしていた。
この日は、風邪気味の人も出ていたので、途中から歩くコースを
変更して、西陣会館で着物ショーをゆっくり楽しむことにする。
彼女たちは着物も重要な日本文化のひとつというしっかりした認識を持っている。
15日、すっかり雨も上がり、空気も澄んで宇治の源氏物語ミュージアムの緑や宇治川が爽やかに春を装っていた。
みんな気持ちよさそうに散策していた。
16日、最も気を使う日となる。
郊外の大原を巡り歩いてから、清水寺に取って返す。あの喧噪の二年坂、三年坂を高台寺まで歩き、そこから4時半までに「都をどり」の甲部歌舞練場に到着しなければならない。
意外なことに気がついた。今までの行程で列がほとんど乱れていない。嵯峨野でも清水でも不安が感じられないのである。
日本人よりずっと統制がとれている。
新潟からは、休憩ごとに堀川さんが指さし確認をしながらバスの中で何度も人数を確かめて京都まで来た。
そして、13日、38名揃ったバスの中で最初に私から迷子になった時のお守り(タクシーで見せるホテルへ行きたい旨を書いたカード)を渡して、一人の自分勝手な行動はみんなの迷惑になるからと厳重に注意はしておいた。
清水寺まで来るころには人数を確認する際、自然に二列縦隊を作って確認しやすいようになっていたのだ。
さすがに、ロシアの人たちも日本人になったみたいだと冗談をいうようになっていた。
この日も、ほぼ時間通りに今日の全行程を終えることができた。「都をどり」を見学した後の高揚したみんなの顔が輝いていた。
17日、今日の見学を終えると夜行定期バスで一足先に帰らなければならない。18日は白山神社の鎮花祭がある。そのことを告げると寂しいと言ってくれたのがとてもうれしかった。
最後の日が近づく中、この日も二条城、上賀茂神社、加茂川沿い満開の桜が春風にゆれていた。
後日、日本センターのオリガさん(副所長)は満開の桜を見ることが日本の情緒を知る上で重要だったと述懐していた。
18日は、アレクセイさんとアーラさんを京都駅に送り、バスは午後から京都を離れ、新潟に向かった。
新潟では鎮花祭も無事に終え、たまった事務処理をしてから京都から到着するホテルに向かう。
紫竹インターを降りるとちょうど正反対方向から降りてきた蒲鉄トラベルのデザインのバスと並走するかたちになった。
まさか!と思いつつ窓に眼をやる。こんなタイミングのいいことがあるだろうか。みんなの乗るバスだった。向こうも気が付き窓を開けて手を振っている。その顔がとてもまぶしかった。
みんな無事に帰ってきた。安堵感が胸に広がった。
思い出をスライドショーで振り返る。
懇親会では、今回の旅行でもっと日本の歴史を知りたくなった。いけばなはその意味で武器みたいだ。といったスピーチがあった。 私も今回全行程を案内するに当たってかなり再勉強させてもらった。
わかっているようでも新たな発見が湯水のように出てきて改めて日本の良さを再認識できたことに逆に感謝しなければならない。
懇親会も佳境に入ったころ、ロシアの全員の歌声が静かに広がった。多少望郷の気持ちも出てきているのだろう。その哀愁のある歌声からは今回の旅行の成功の喜びと感謝の気持ちがひしひしと伝わってきた。
これで、みんなと共有する心の財産ともいうべき良い思い出が、またひとつできましたね。
お一人、おひとりに心より深く感謝の意を表します。
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