ひな祭り11
いけばな歳時記 季節の節目に出会う花!
「ひな祭り」に活ける
2011年2月22日(火) spectator:3685
- おひなさま
日本には美しい四季の移ろいがあり、その時々の季節の節目を祝うという習慣がある。
先人がいかに日本の自然を愛し、それが生活のなかで節度を育み、自然に対して謙虚に向かい合うことで日本人の気質や情緒をつくり出してきたといえる。
近年、ややもすると忙しさにかまけてこういう習慣が廃れつつあることは否めない。
忙しいことを言い訳の口実にする人がよくいるが、それは己の心を亡くしていると公言しているに過ぎない。
忙しいという字は心を亡くすと書く。
節度ある態度は日本人の誇りであり矜持につながることであり、今一度地に足を付けた生き方を考えたいものである。
過ぎゆく時は年々早くなるように感じる。もうすぐ三月である。
ジッと耐えて春を待つ雪国に、五節句のひとつ、上巳の節句「ひなまつり」の季節が訪れる。
二月も終盤になるころには、ようやく吹く風にも春の匂いが感じられ、陽光が温かくふりそそぐ春の到来を告げる季節となる。
雪消えの土のなかからは新芽の先が見え隠れ、いつのまにか雪柳などの花芽もふくらみはじめ、梅の蕾もわずかに白くほころび始めて、春の兆しがそこここに顔を出す。
長い冬ごもりから解き放たれて希望あふれる春へ!
そんな生命力のあふれる季節に女の子の健やかな成長を祝う「ひなまつり」の節句。
初孫を迎えた我が家にとっては、また今年は格別の思いの「ひなまつり」である。
いけばなは「活け花」とも書く。花を活かし、人も活きるという願いを込める。
桃は古来より邪気を払うとされている。
そこに、春の象徴の花でもある、成長の早い菜の花を添えていける。
幼子の無事に健やかにと願って活けるひな祭りの花である。
( 画像は飾成体(上)と立盛体(下)。生徒さんのいけた作品。)
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