07會津八一記念館企画展
いけばな行事 人の和が次の大きな輪を創る!
新潟市會津八一記念館 「秋艸道人草花を詠む」 いけばな作品展
2007年4月7日(土)~6月24日(日) spectator:5015
2月18日、日曜日の朝、上記いけばな展の要請の電話が入った。
2月23日には役員会で15流派参加の意向と週別の担当流派を決定し、館側に伝えるという超スピードの決定がなされた。。
この年は、2月28日より新潟市の政令指定都市を記念した市内38流派による「新潟市いけばな展」が新潟伊勢丹で開催される、その直前のオファーだったのである。
「新潟市いけばな展」が大成功に終わると、引き続き基本方針、ポスター図案、会場設計や確認事項が決められて、4月7日のオープンにこぎつけた。
わずか一か月の準備期間で効率よく物事が決まっていった。
いけばな展示は4月17日から6月24日までの10週間。約二ヶ月半という長期にわたる。
原則、1流派が1週間、6から8作品を常時展示する、會津八一の書と15流派のいけばなの共演。それを美術館という場所で開催する。
今まで考えられないことが起こったのである。
初の試みではいろいろな問題が出てくる。
まず開館時間内でのいけ込みとなるので来館者との関係で不快感を与えないよう留意することが最も重要な点であった。
通達をしていても数件の苦情が出た。
管理体制を強化する。
また、席札も流派独自のものから、統一した席札とし、連帯感を深めることにした。
難しかったのは、歌の解釈といけばなの作為が一致しているかという点である。
正直、どこまで理解して作品にしたのかは、一回目の試みとしての企画展の大きな課題になったことは否めない。
新潟市文化スポーツ部長を表敬したおり、当展の評判が良いことを言われホッとする。
そして、この5年間の企画展のなかでは最も多い入館者を記録したという。これは何より嬉しいことであった。
會津八一記念館では、各流派の作品写真集を制作した。プロのカメラマンによる本格的な撮影をしたものである。
また、会期中の5月19日(土)には神林恒道館長による「會津八一といけばなの美学」と題した文芸講演会を新潟市民プラザで開催。
二百名を越える来場者にスライドを交えて華道史を解説された。
この講演は、市内十五流派の合同展示に対するお礼として開かれたものである。
新潟の誇りである會津八一先生の書と共演させていただいたことはいけばなに携わるものの一人としてたいへん光栄な経験となった。
「秋艸会報」第24号に「企画展いけばな展示に参画して」と題したコメントを掲載させていただいたのでその本文を記す。
企画展いけばな展示に参画して
上野恒洲
會津八一先生の書といけばなの共演という企画展が実現した。
美術館でのいけばな展は初めての試みである。
即日十五流派の参加が決まり、二ヶ月半の会期を各流派ごとにリレー出展する。
特に今回はテーマと場を考慮した作品が求められ、各流派の特徴や作者の個性が十分に発揮されることになる。
生け替えごとに展示室の雰囲気が一変する。
いけばな作品が並ぶと華やいだ清浄な空気に包まれ、書画と融合して凛とした、いっそう気品漂う爽やかな空間となった。
いけばなは水墨画が日本に伝わったのち開花した。
その空間を巧みに活かす手法は書にも共通し華道、書道と「道」の日本文化として長い歴史を持つ。
初の試みはその結果において高い関心を呼び、予想以上の集客につながった。
このことは多様なジャンルとの交流が次の新たな展開の可能性になることを示唆している。
そしてこの企画展が日本のアイデンティティとは何か、残すべき文化とは何かを改めて考えるきっかけとなったのなら、なお嬉しいことである。
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