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角田山11

  山と自然           一歩一歩登った山々に美の原点がある!

 新潟の花の山 「角田山」  標高481.7m

    2011年1月2日()            雪割草とカタクリ(4分)  spectator:3918

  • 梨の木平の象徴だった見事なありし日の梨の木

梨の木平の象徴だった見事な梨の木 

灯台コースから見た日本海 

めて真冬に登った山。それが角田山だった。
その日は、快晴で雪も少ない年だった。冬山に登りたいという衝動をかなえてくれた山だ。

標高は低い。

だがいきなり日本海の波打ち際から急登する灯台コースは風食の岩稜尾根を行く、ちょっとしたアルプス気分を味わえるコースであり、天候によっては侮れない山でもある。

私が山に再挑戦するようになった40代初めのころ、あの夏山の清涼感を味わうと標高2000m以下の山は正直あまり興味がなかった。

ある年の春、妻の美砂子が「雪割草とカタクリの群落がすごいんだって!」という話から「じゃあ」とピクニック気分で登ったのが角田山だった。

雪割草 

雪割草 

雪割草 

海水浴場の角田浜に車を置き、桜尾根から登り始める。
ひと登りすると足が止まった。そこには目を見張るほどの景色が続いていた。

足元から湧くように「雪割草」が所狭しと群生している。
( 正確には「オオミスミソウ」だが新潟では「雪割草」と呼ぶ。)

早春の太陽の光を受けて輝くこの花々は長い冬の眠りから目覚めた春の喜びが右に左に上方にとあふれていた。

カタクリの群落 

カタクリの群落 

白いカタクリ 

さらに高度を上げてゆくと、今度はカタクリの群落だ。登山道の両側、斜面がピンク色に染まる。

なんと気持のよい登山道だろう。その外にも春のいろいろな花々が咲き、やさしく微笑んでいるようだ。

観音堂からの眺望 

約2時間で頂上に着く。頂上は広場みたいに広く平坦で眺望はほとんど得られない。

そこから先の観音堂まで行くと新潟平野の展望が開け、日本海に浮かぶ佐渡、粟島。

鳥海山から朝日連峰、飯豊連峰、五頭連峰、菅名岳から大倉山の山魂、白山、粟ケ岳が見渡せる。ベンチに座って展望を楽しむ。

帰りは「灯台コース」を下る。

灯台コースの登山道 

ここもカタクリの群落が続く尾根道の登山道を行く。西日に照らされた斜面や登山道を埋める圧倒的なピンクの絨毯はとても美しい。

これほどの群落は日本でも有数ではないだろうか。

キクザキイチゲの群落を過ぎるとようやく日本海の展望が楽しめる見事な梨の木のある展望台の小さな広場、梨の木平に着く。

その先が低い標高に似あわない本格的なガレ場となりそこを急下降するのだが、鞍部近くから頑丈なステンレス製の手すりが続く。

灯台コースの登山道 

少し過剰設計かなと思っていたが、そうではないということをすぐに思い知らされることになる。

高度を下げるにつれ海風が猛然と襲ってきた。沖にはウサギが飛ぶような波が見える。

そしてそのくさり場にさしかかると砂が斜面に沿って吹き上がるようにして下からたたきつけてきた。帽子があっと言う間に吹き飛ばされた。

そして顔を海と反対側に向けて砂嵐の様な暴風のなか稜線のアップダウンの登山道を前進しなければならなくなった。

こうなるとこの手すりのクサリに頼らざるを得ない。

正直、吹き飛ばされそうな恐怖を感じて無事に下山できるか自信をなくしかけたとき、目の前にエスケープルートが現れた。

灯台コース。右側が海。風食で露岩の登山道 

稜線から海側と反対のこの道に入った途端、あの風はうそのようになくなっていた。

この経験があってから、なぜかこの灯台コースが私達の最も好きな登山ルートになった。

正式な登山道は七ヶ所だがその外にも4~5本あるらしい。

その中でお勧めなのがここで紹介したコースである。変化に富み、駐車場を同じにする便利さもいい。

花は雪割草、カタクリをはじめ季節季節の花の種類がすごい。

オウレン 

エンレイソウ 

コシノカンアオイ 

ヒトリシズカ 

アサツキ 

チゴユリ 

コシノコバイモ 

桜尾根の雪割草、そして初夏から真夏の灯台コースのアサズキやキツネノカミソリの群落も圧巻だ。まさに花の山である。

ある年など、7か所の登山ルートと私有地を通る「桜尾根コース」を一年で全部踏破したことがあったが、花々を観るのが楽しみで一気に登った。

また、午後4時に仕事に出掛ける前に角田山に登ってくる予定を立てスケジュール通り実行したこともあった。

冬の角田山 

冬の角田山、山頂 

そして、角田山が身近に感じられるようになった頃、冬に登るチャンスが与えられたのである。

凛とした空気、葉を落とした木立の間から見える普段見れない登山道からの眺めはとても新鮮だった。

冬の木々は春の到来を待ちわびるようにして赤い色の蕾を膨らませている。遠くから見ると木々の先端はほのぼのとして温かくさえ感じられるようだ。

冬の時代こそ、この希望を秘めたような温かみが大切なことを教えてくれているように思われた。

山はその標高に関わらず厳しさも見せるが、圧倒的に優しく迎え入れてくれる。



角田山は平成の大合併で新潟市の山になった。(その結果、新潟市の山は角田山とその山魂を一つにする弥彦山の一角をなす多宝山の二つとなった。)


あらためて新潟市の花の名山としてこの「角田山」を紹介しておきたい。

梨の木平にあった梨の木 

一昨年、残念なことに灯台コースの象徴的な存在だった梨の木平の梨の木が心ない何者かによって執拗にも数度にわたって根元から伐られてしまった。同一犯であろうか、その周辺の大量の木々も不法伐採している。このエリアは国定公園内である。
新潟の周辺の山は貴重な植物が自生する花の山が多いが雪割草はじめ貴重な山の花を根こそぎ持ち帰ってしまう人も後を絶たない。山は万人の財産である。
この貴重な自然を次の世代に受け継ぐ意思を共有出来ない人は山に入るべきではない。
かかる悪質な違法行為に対しては厳罰をもって早急に対処する必要があるだろう。



  • 角田山の雪割草カタクリの群落


















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