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生物100125

 生きものたち          かけがえのない「いのち」のかたち!

 山で出会った生きものたち

   2010年1月25日(月)           spectator:2045

  • 奥胎内で野鳥の撮影

奥胎内で撮影中

では、いろいろな野生動物に会った。

尾瀬が原の西にどっしりと構える至仏山に最初に登ったときのことだった。

二匹の子供のオコジョたち

鳩待峠からまだ薄暗い山道を登り始めて20分くらいたったとき、突然目の前にまるでぬいぐるみのような小さな小さな「オコジョ」が現れた。

背中がこげ茶色でお腹が純白の、それはよく動き回る、2匹のかわいい子供の「オコジョ」だ。
すぐ近くまで来たかと思うとチョロチョロっと山道と木の根の間に身を寄せる。何度もあいさつに来るようにまた近寄ってくる。

ぬかるんだ道であんなに早く動いても短い足や純白のお腹が汚れることなくどうしてあんなに綺麗な毛並みをしているのだろう。

俎倉山の天狗の庭にて

わずかの時間だったが驚かさないようにカメラのフラッシュは使わずビデオで撮影した。

夜、奥只見湖の淵を廻るようにして桧枝岐村に入ったときのこと。ヘッドライトの明かりに「野生の子狐」たちが見え隠れした。車をゆっくり進める。

ビデオを構えてみたが、2度3度と姿を見せてくれたあと、茂みに隠れてしまった。狐色の太い尻尾が印象に残った。

 しばらく興奮がさめず立ち去り難かったことを思い出す。

新保岳で出会った本土リス

尾瀬から会津に抜ける山道や村上の山では「本土リス 」と出会った。リスも動きが素早く、写真撮影が難しい。

 ふわっとしたシッポがなんとも可愛いい。

幼い野生動物ほど好奇心が強いのは人間と同じだ。そしてこちらがどんなヤツかを確認するとたちどころに消えてしまう。

予期せぬ野生動物との出会いはいつも感動する。これこそまさに一期一会の出会いなのだ。

白馬大池を望む乗鞍岳の「オコジョ」



二度目に「オコジョ」に出会ったのは白馬岳に登る途中、白馬大池を見下ろす乗鞍岳の頂上だった。こんどは大人のようだ。

岩陰から岩陰へとその動きはクイックモーションのように、とても素早い。

よく見ると、ぬいぐるみのような可愛い表情と、肉食動物の鋭い顔の二面があるのをそこに見た。

このときは、かなり長い間岩陰でこちらを伺うようにしてひとしきり遊んでいってくれた。




北アルプスといえば「雷鳥」である。白馬大池から小蓮華岳に行く上り坂が雷鳥坂と呼ばれている。名前通り雷鳥はその姿を見せてくれた。

ハイマツの中がねぐらのようだ。草の先端、花芽かもしれないが、ひとしきりついばんでからハイマツの中に消えた。

白馬大池の雷鳥坂で会った「雷鳥」

さらに三国境から白馬山頂に向かう稜線上で、またもや雷鳥に遭遇。美砂子に追われるようにして斜面から細い登山道に上がり、私の方へ近づいてきた。

とっさにビデオを回していたが私の足先が写るくらいまで近づいた。私が立ちはだかっているのでどっちから行こうか迷っている。やがて小走りに右側の岩伝いに孤を描くように私を追い越して行った。

 私の方がドギマギして「どちらへお出かけ?」なんて拍子抜けした声をかけていた。

野生の日本猿

そして、もう一度、槍ヶ岳でも雷鳥の親子に遭遇した。動物も鳥も子供はほんとにかわいい。また、その厳しい環境下で生きている姿には敬意さえ覚える。

クマも怖いが、はからずも猿の大軍団 のなかに一人入り込んでしまったことがあった。

まだ雪が残る4月の胎内で、発電所からは鎖が張ってあり車では入れない。
そこからは、徒歩でいくつもの沢を縫うようにして山奥に入ってゆく。この時は私一人の単独行だった。

ある沢を曲がったとたん、何十頭いや見え隠れして定かではないが百頭以上の群れのようだ。出会いがしらに出くわした。

向こうもびっくりしたのだろう。

少し沈黙が続いたあと、それは突然に起こった。

沢の上から一匹の猿が牙をむいて声を張り上げ一直線に私に突進してきたのだ。

奥山に霧がかかり日本画のよう

さすがに、このときは戦慄したが、意外と冷静に武器になるものはカメラの三脚だけだったので、ビデオカメラをおもむろに外して腰のカメラ専用のウエストポーチに収め、臨戦態勢をとろうとしたそのとき、
沢を駆け下りてくるその猿の右90度の上方から、一回り大きい猿がすごい速さで突進してきて、私に向かってくる猿の首を噛むようにして激しく制止した。

 あっという間の出来事だった。まだ、三脚を身構える間もないくらいの早さだった。

胎内で撮影した「ヤマガラ」

突進してきた猿は抑え込まれてもまだ私に牙をむいている。そのときの私との距離は約20mくらいであっただろうか。

このときは、妙に冷静に周りを感じる余裕があった。木という木、斜面の草むらという草むらにうごめくおびただしい数の猿たちを感じていた。

そして、思わずかなり大きな声を発していた。

「ごめん!脅すつもりはなかったんだ。…次の沢までいって撮影してきたいんだ。通してもらえないか!」

獲物を狙う「コルり」

一瞬、猿たちのざわめきがピタリと止まったように感じた。

すかさず周囲に届く声で続けた。

「君たちに危害を加える気なんかないんだ。…通させてもらうよ!…」

そして、ゆっくりと静かに歩を進め、周りの様子に気を配りながら猿の群れ中に分け入った。

すると、草むらや木々に鈴なりになっている猿たちは私の行く先々に道をつくるように空けてくれたのだ。

 サルたちとの距離は約5m位保たれて進む。

サルたちが移動するときの木々の揺れと葉づれの音を聞きながら群れの中を慎重に驚かせない様に進んだ。

この年は胎内の四季を撮影するため、撮影場所を決め、定点撮影をしていた。次の沢が最後の定点撮影現場だったのだ。どうしても撮っておきたかった。

無事最後の撮影が終わり、帰りは無事に通してくれるかなとの不安はあったが、その沢まで来ると、まるで何事もなかったように静かに初春の風だけがそよいでいる。

沢を埋めつくしていた猿の気配など拍子抜けするほどに全く消え失せていた。

崖を登ってきたところを撮影する



また、この胎内には 「日本カモシカ」 も生息している。

ある橋の上にいると一頭のカモシカが橋のたもとの方へ斜面をゆっくり登ってゆくのが見えた。

身を隠してソッと車に戻り、レンズを望遠レンズに取り換え、登ってくるであろう橋のたもとまで隠れるようにして行き、三脚をセットして待った。

どんぴしゃり。

目の前それも真正面に木の間から顔が出た。距離約2,5m。このレンズの最短焦点距離ぎりぎりのところだ。
 
 静かにシャッターを切った。(左の写真)

まるでポートレートのようなカモシカの写真が撮れた。


少し話しかけたが、カモシカにとってはいい迷惑だったことだろう。
「驚かせてゴメンネ!今すぐ向こうにいくからね。」そう言って静かにその場を去り、車に戻った。   


さらに、奥胎内では「ヤマセミ」の声が聞かれるが、なかなか姿を見ることは少ない。

 その姿を撮りたくて17時間も待って撮影に成功したこともあった。

残念ながら、深い森の遠くだったので影のような写真だったが…(左下の写真)
このときは、1,5倍のテレコンを装着して600mm相当の望遠レンズで撮影。

深山に生息する「ヤマセミ」

普段は野生動物に出会う機会はめったにない。彼らの生息域の深い山に入ることで会えるのだが、彼らも人間が怖いのだ。安全距離最低5m以内には近づかないことだ。

また、大声も禁物だ。

一度ある山で日本カモシカが小さな鞍部の稜線上の登山道に突然ひょこっと現れたことがあった。すぐ目の前だった。

あまりにも突然だったので最初は熊かと錯覚するほどりっぱなカモシカだった。

お互い見つめあったまま動かない。いや正直感動で動けなかったのだ。むこうは恐怖で動けなかったのかもしれないが…

 すごい、こんなに近くで見つめあっているのだ。


思わず、後方から歩いてくる美砂子に「かあさん!」と後ろを振り返り呼んだ。自分でもびっくりするくらいおおきな声だった。カモシカはもっとびっくりしたのだろう。

普段はスローモーなカモシカだが、山の崖をすざましい音を立てて下って行ったのである。

ドドドド・どどー という猛スピードで下って行ったあの音は今でも耳に残っている。

多様な生態系が残っているということは自然が健全に保たれているということだ。

最近、民家近くに熊やサルたちが頻繁に現れ、尾瀬も鹿の害が起きているなどのニュースが目立つようになった。

 自然界の微妙なバランスが壊れ始めている。

人間は動物の生存圏に人間の欲求だけでむやみに立ち入るべきではない。

清楚なヤマリンドウ

あんな山奥に作る砂防ダムや、生態系を無視したような深い山に森林を削ってつくる恒久的な舗装道路などは、本当に必要なのか。

ある日、山越えをして峠を抜ける途中で道路工事で一時停止をしたとき、重機で捨てている土砂の斜面に、清楚な竜胆の群落を見つけた。工事関係者にそこを避けて土砂を捨ててもらうよう頼んだことがあった。

 こうして多くの貴重な植物たちが無残に破壊されているのだろう。


 たった一本の木がなくなるだけで蝶の生活圏が破壊されてしまうともいう。

次の時代にも、多様で豊かな動植物のいる日本の自然を守ることは、今を生きている我々ひとりひとりの意識ひとつにかかっている。


生態系はいったん壊したら回復するまで何十年何百年とかかる。

生態系が乱れることは、ひいては人間にそのつけが回ってくることを肝に銘じなければならない。



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